ルートの計算方法

ルート(平方根)の足し算や引き算を計算するには、ルートの中の数が同じものをひとつの文字と考えて、分配法則を使ってまとめます。ルートどうしの掛け算や割り算を計算するには、それぞれ、ルートの中身の掛け算や割り算として計算します。

また、ルートの中の数はできるだけ小さな自然数にしたり、分母にルートを含まないように処理したりする必要があります。

このページでは、ルート(平方根)の四則計算の方法と、ルートの中身を小さな自然数にする方法分母の有利化について、例題と共に説明しています。



もくじ

  1. ルートの四則演算
    1. 足し算と引き算
    2. 掛け算と割り算
  2. ルートの処理
    1. ルートの中身を最小化
    2. 分母の有利化

平方根(ルート)の計算方法

足し算と引き算

ルート(平方根)の足し算や引き算を計算するには、ルートの中が同じ数どうしを、分配法則を使ってまとめます。

次の例題を解いてみましょう。

$2\sqrt{5}+4\sqrt{5}$ を計算せよ。

この式のルートの部分は、$\sqrt{5}$ で共通なので、これにかかっている数 2 と 4 を分配法則を使ってまとめることができます。

\begin{align*} 2\sqrt{5}+4\sqrt{5} &= (2+4)\sqrt{5} \\[5pt] &= 6\sqrt{5} \end{align*}

引き算も同様に計算できます。

$6\sqrt{3}-2\sqrt{3}$ を計算せよ。

足し算のときと同じように、$\sqrt{3}$ にかかっている数を分配法則でまとめます。

\begin{align*} 6\sqrt{3}-2\sqrt{3} &= (6-2)\sqrt{3} \\[5pt] &= 4\sqrt{3} \end{align*}

これらの計算方法は、多項式の同類項をまとめるのと同じ操作ですね。ルートの中が同じ数を一つの文字と見て計算することができます。


ルートの中の数が異なる場合は、それ以上簡単にすることができません。例えば、$\sqrt{2}+\sqrt{3}$ はこれ以上簡単にすることができません。

最後に、ルートの中の数が異なる項を含み、さらに足し算と引き算が混ざった問題を解いてみましょう。

$3\sqrt{2}+4\sqrt{3}-2\sqrt{2}$ を計算せよ。

ルートの中の数が同じものどうしを、分配法則を使ってまとめます。

\begin{align*} 3\sqrt{2}+4\sqrt{3}-2\sqrt{2} &= (3\sqrt{2}-2\sqrt{2}) +4\sqrt{3} \\[5pt] &= \sqrt{2} +4\sqrt{3} \end{align*}

以上が、平方根の足し算と引き算の計算方法です。

掛け算と割り算

ルート(平方根)どうしの掛け算と割り算は、それぞれルートの中身を掛けたり割ったりすることで計算できます。

$a\gt0,\,b\gt0$ のとき

\begin{align*} \sqrt{a}\sqrt{b} &= \sqrt{ab} \\[5pt] \frac{\sqrt{a}}{\sqrt{b}} &= \sqrt{\frac{a}{b}} \end{align*}

それでは、例題を解いてみましょう。

$\sqrt{2}\sqrt{7}$ を計算せよ。

ルートどうしの掛け算は、ルートの中身の掛け算にして計算します。

\begin{align*} \sqrt{2}\sqrt{7} &= \sqrt{2\times7} \\[5pt] &=\sqrt{14} \end{align*}

$\sqrt{22}\div\sqrt{2}$ を計算せよ。

ルートどうしの割り算は、ルートの中身の割り算にして計算します。

\begin{align*} \sqrt{22}\div\sqrt{2} &= \frac{\sqrt{22}}{\sqrt{2}} \\[5pt] &= \sqrt{\frac{22}{2}} \\[5pt] &= \sqrt{11} \end{align*}

以上が、平方根の掛け算と割り算の計算方法です。

ルートの処理

ルートの中の数を最小化

ルート(平方根)を使って数を表す時は、ルートの中の数をできるだけ小さな自然数にします。

ルートの中の数がある数の 2 乗を因数として含むとき、その因数をルートの外に出すことで、ルートの中の数を小さくします。

\[\sqrt{a^2 b}=a\sqrt{b} \]

それでは、例題を解いてみましょう。

$\sqrt{12}$ のルートの中身をできるだけ小さな自然数にせよ。

12 を素因数分解すると、12 = 22×3 となります。素因数として 2 の 2 乗を含むので、素因数 2 をルートの外に出すことができます。

\begin{align*} \sqrt{12} &= \sqrt{2^2\times3} \\[5pt] &= 2\sqrt{3} \end{align*}

もう一つ、例題を解いてみましょう。

$\sqrt{32}$ のルートの中身をできるだけ小さな自然数にせよ。

先ほどと同じように、ルートの中身を素因数分解すると、32 = 25 となります。よって、次のように計算できます。

\begin{align*} \sqrt{32} &= \sqrt{2^5} \\[5pt] &= \sqrt{4^2\times 2} \\[5pt] &= 4\sqrt{2} \end{align*}

ルートの中で 2 乗になった数は、1 乗の形でルートの外に出すことができるということを覚えておきましょう。

分母の有利化

分母にルート(平方根)を含む数は、分母と分子に同じ数を掛けることで、分母にルートを含まない形にします。これを分母の有利化といいます。

次の例題で確認してみましょう。

$\frac{1}{\sqrt{2}}$ の分母を有利化せよ。

$\frac{1}{\sqrt{2}}$ は分母にルートを含んでいるので、分母を有利化します。分母と分子に $\sqrt{2}$ を掛けて計算しましょう。

\begin{align*} \frac{1}{\sqrt{2}} &= \frac{1\times\sqrt{2}}{\sqrt{2}\times\sqrt{2}} \\[5pt] &= \frac{\sqrt{2}}{2} \end{align*}

これで、分母にルートを含まない形にすることができました。

もう一つ例題を解いてみます。

$\frac{3}{2\sqrt{6}}$ の分母を有利化せよ。

先ほどと同様、今度は分母と分子に $\sqrt{6}$ を掛けることで、分母を有利化します。

\begin{align*} \frac{3}{2\sqrt{6}} &= \frac{3\times\sqrt{6}}{2\sqrt{6}\times\sqrt{6}} \\[5pt] &= \frac{3\times\sqrt{6}}{2\times 6} \\[5pt] &= \frac{\sqrt{6}}{4} \\[5pt] \end{align*}

最後の行では、分母と分子を 3 で割って約分しました。

以上が分母の有利化の方法です。