半角の公式 - 三角関数の公式一覧

半角の公式とは、角 α/2 の三角関数を、角 α の三角関数の形に変換する公式です。半角の公式は、次の式で表されます。

\begin{align*} \sin^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{2} \\[5pt] \cos^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1+\cos\alpha}{2} \\[5pt] \tan^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{1+\cos\alpha} \\[5pt] \end{align*}

このページでは、半角の公式の導出方法と使い方の説明をしています。



もくじ

  1. 半角の公式
  2. 半角の公式の導出方法
  3. 半角の公式を使った計算例

半角の公式

前述の通り、半角の公式は次の式で表されます。

\begin{align*} \sin^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{2} \\[5pt] \cos^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1+\cos\alpha}{2} \\[5pt] \tan^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{1+\cos\alpha} \\[5pt] \end{align*}

または、上の式で α を 2α に置き換えて、次のように書くこともできます。

\begin{align*} \sin^2\alpha &= \frac{1-\cos 2\alpha}{2} \\[5pt] \cos^2\alpha &= \frac{1+\cos 2\alpha}{2} \\[5pt] \tan^2 \alpha &= \frac{1-\cos 2\alpha}{1+\cos 2\alpha} \\[5pt] \end{align*}

半角の公式は特に、高校3年生で三角関数の積分をするときに重要です。被積分関数が三角関数の2乗の形になっている場合、半角の公式を用いて次数下げすることで、容易に積分できるようになります。

それでは、この式がどのように導かれるのかを見ていきましょう。

半角の公式の導出方法

半角の公式は、コサイン(cos)の2倍角の公式を書き換えたものに過ぎません。そして、コサインの2倍角の公式は、加法定理から得られたものでした。

それでは、この加法定理の段階から追って導出していきましょう。まず、コサインの加法定理は次の通りです。

\begin{align*} \cos(\alpha + \beta) &= \cos\alpha\cos\beta - \sin\alpha\sin\beta \end{align*}

この式で、β = α と置き換えると、次に示すコサインの2倍角の公式が得られます。

\begin{align*} \cos 2\alpha &= \cos^2 \alpha - \sin^2 \alpha \\[5pt] &= 1 - 2\sin^2 \alpha \\[5pt] &= 2\cos^2 \alpha - 1 \\[5pt] \end{align*}

ここで、2行目と3行目に変形する過程では、三角関数の基本公式 \[ \sin^2 \theta + \cos^2 \theta = 1 \] を用いました。

この2倍角の公式を移項して2で割ると、2行目と3行目からそれぞれ、サインとコサインの半角の公式が得られます。

\begin{align*} \sin^2\alpha &= \frac{1-\cos 2\alpha}{2} \\[5pt] \cos^2\alpha &= \frac{1+\cos 2\alpha}{2} \\[5pt] \end{align*}

最後に、タンジェントの半角の公式は

\[ \tan^2 \alpha = \frac{\sin^2 \alpha}{\cos^2 \alpha} \]

の関係より、サインの半角の公式の辺々を、コサインの半角の公式の辺々で割ることで得られます。

\begin{align*} \tan^2 \alpha &= \frac{1-\cos 2\alpha}{1+\cos 2\alpha} \\[5pt] \end{align*}

以上で三角関数 sin, cos, tan すべての半角の公式を導きことができました。

なお、このページ最初に示した形にするには、今求めた公式の α を α/2 に置き換えればよいです。

半角の公式を使った計算例

$\sin 22.5^\circ $ の値を求めよ。

問いの 22.5° は 45° の半分の角度であることに注目しましょう。45° の三角関数の値は知っているので、半角の公式を用いて計算することができます。

$\sin 22.5^\circ$ を2乗してから半角の公式を用います。$\cos 45^\circ = \frac{\sqrt{2}}{2}$ であるので

\begin{align*} \sin^2 22.5^\circ &= \frac{1-\cos 45^\circ}{2} \\[5pt] &= \frac{1}{2} \left( 1-\frac{\sqrt{2}}{2} \right) \\[5pt] &= \frac{2-\sqrt{2}}{4} \end{align*}

$\sin 22.5^\circ \gt 0$ であるから

\begin{align*} \sin 22.5^\circ &= \frac{\sqrt{2-\sqrt{2}}}{2} \\[5pt] \end{align*}

となります。


$\frac{\pi}{2} \lt \alpha \lt \pi $ で $ \sin\alpha = \frac{3}{5} $ のとき、$ \sin\frac{\alpha}{2} $ の値を求めよ。

まずは $ \sin^2\alpha + \cos^2 \alpha = 1 $ の関係を用いて、$ \cos\alpha $ を求めます。

$\frac{\pi}{2} \lt \alpha \lt \pi $ のとき $\cos \alpha \lt 0$ であるあるから

\begin{align*} \cos\alpha &= -\sqrt{1-\sin^2\alpha} \\[5pt] &= -\sqrt{1-\left( \frac{3}{5} \right)^2} \\[5pt] &= -\frac{4}{5} \end{align*}

よって、sin の半角の公式を用いると

\begin{align*} \sin^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{2} \\[5pt] &= \frac{1-\left(- \frac{4}{5} \right)}{2} \\[5pt] &= \frac{9}{10} \end{align*}

$\frac{\pi}{2} \lt \alpha \lt \pi $ より $ \frac{\pi}{4} \lt \frac{\alpha}{2} \lt \frac{\pi}{2} $ であるから $ \sin\frac{\alpha}{2} \gt 0 $

ゆえに

\begin{align*} \sin\frac{\alpha}{2} &= \sqrt{\frac{9}{10}} \\[5pt] &= \frac{3}{\sqrt{10}} \\[5pt] &= \frac{3\sqrt{10}}{10} \end{align*}

となります。

次のページでは、三角関数の公式を一覧にまとめています。