累乗の意味と計算方法

累乗とは、同じ数を何回か掛け合わせたもののことです。例えば、2 を 3 回掛け合わせた 2 × 2 × 3 を 23 と表し、2 の 3 乗と読みます。

累乗の意味

\[ a^n = \underbrace{a\times a \times \cdots \times a}_{n\,\text{個}} \]

このページの続きでは、累乗の意味計算方法を説明しています。また、0 乗負の整数乗についても説明しています。



もくじ

  1. 累乗の意味
    1. 零乗
    2. 負の整数乗
  2. 累乗の計算
    1. 基本的な計算
    2. 指数法則を使う計算

累乗の意味

累乗とは、同じ数を何回か掛け合わせたもののことです。例えば、2 を 3 回掛け合わせた 2 × 2 × 3 を 23 と表し、2 の 3 乗と読みます。

一般的に説明すると、a を n 回掛け合わせることを an と表し、a の n 乗と読みます。

累乗の意味

\[ a^n = \underbrace{a\times a \times \cdots \times a}_{n\,\text{個}} \]

a と書いたとき、掛け合わせる数 a をといい、右上に小さく書いた数 n を指数といいます。

指数を上付き文字で表現できない環境の場合は、^ に続けて指数を書くことが多いです。例えば、an を a^n と書き表すことがあります。

零乗

累乗の指数が 0 のとき、その値は 1 と定められています。

\[ a^0 = 1 \]

0 乗の値が 1 と定められている理由を説明しましょう。

累乗 an の指数 n が 1 減ると、an の値は a 分の 1 倍になります。例えば 32(= 9)と 31(= 3)を比べてみましょう。累乗の指数が 1 減ると、その値は 3 分の 1 になっていることが分かりますね。

この法則を適用して、a1 の指数 1 を 1 減らして a0 にすると、その値は a1 の a 分の 1 倍の値になります。つまりそれは、a1 ÷ a = 1 です。

指数が 0 の場合でも、累乗のこのような法則が成り立つように、0 乗の値は 1 と定められています。

負の整数乗

累乗の指数が負の整数の場合は、指数を絶対値が同じ正の数にした数の逆数と等しくなります

$n$ が正の数のとき

\[ a^{-n} = \frac{1}{a^n} \]

例えば、$2^{-3}$ は、指数 -3 を正の数にした $2^3$ の逆数 $\frac{1}{2^3} $ と等しくなります。

このように定められている理由は、上で 0 乗を 1 と定めたことと一緒です。a の指数 n を 1 小さくすると、その値は a 分の 1 になるという法則を、指数が負の数の場合も成り立つようにしています。

例えば、a0(= 1) の指数を 1 を小さくすると、その値は 1 を a 分の 1 倍にした $\frac{1}{a}$ となります。すなわち、$a^{-1}=\frac{1}{a}$ となります。さらに指数を 1 小さくすると、a 分の 1 倍されるので、$a^{-2}=\frac{1}{a^2}$ となります。

このような法則が成り立つように、$ a^{-n} = \frac{1}{a^n} $ と定められています。

累乗の計算

累乗の基本的な計算(中学生レベル)指数法則を使った計算(高校生レベル)を、それぞれ例題を使って説明していきます。

基本的な計算

基本的な累乗の計算問題を一緒に解いてみましょう。

$(-2)\times (-2)\times (-2)$ を累乗の指数を使って表せ。

$(-2)\times (-2)\times (-2)$ は -2 を 3 掛け合わせた数です。よって、$(-2)$ を底とし、掛け合わせる個数 3 を指数にした累乗の形で書き表すことができます。

\[ (-2)\times (-2)\times (-2) = (-2)^3 \]

$(-3)^2$ を計算せよ。

$(-3)^2$ は -3 を 2 個掛け合わせることを意味しています。よって、次の通り計算できます。

\begin{align*} (-3)^2 &= (-3) \times (-3) \\[5pt] &= 9 \end{align*}

$-3^2$ を計算せよ。

$-3^2$ の指数は、3 にかかっています。よって、次の通り計算できます。

\begin{align*} -3^2 &= -(3\times 3) \\[5pt] &= -9 \end{align*}

今回の問題 $-3^2$ とひとつ前の問題 $(-3)^2$ は指数がかかっている部分が異なるため、計算結果も異なることに注意しましょう。

指数法則を使う計算

累乗どうしの積や商などには次の指数法則が成り立ちます。

$a\neq0,\,b\neq0$ で $m,\,n$ が整数のとき

\begin{align*} a^ma^n &= a^{m+n} \\[5pt] a^m\div a^n &= a^{m-n} \\[5pt] (a^m)^n &= a^{mn} \\[5pt] (ab)^{n} &= a^nb^n \\[5pt] \left( \frac{a}{b} \right)^n &= \frac{a^n}{b^n} \end{align*}

これを使って、累乗どうしの計算をしてみましょう。

$a^2a^3$ を計算せよ。

累乗どうしの積は、その指数の和を取ることで計算できます。一度掛け算の形に書き直すと、指数法則の意味が分かるでしょう。

\begin{align*} a^2a^3 &= ( \underbrace{a\times a}_{2\,\text{個}})\times ( \underbrace{a\times a \times a}_{3\,\text{個}}) \\[5pt] &= a^5 \end{align*}

$a^2 \div a^5$ を計算せよ。

累乗どうしの商は、その指数の差を取ることで計算できます。一度分数の形に書きなおすと、指数法則の意味が分かるでしょう。

\begin{align*} a^2 \div a^5 &= \frac{a\times a}{a\times a \times a \times a \times a}\\[5pt] &= \frac{1}{a^3} \\[5pt] &= a^{-3} \end{align*}

$(a^2b^{-4})^2$ を計算せよ。

指数法則の $(ab)^{n} = a^nb^n$ と $(a^m)^n = a^{mn}$ の関係を用いて計算します。

\begin{align*} (a^2b^{-4})^2 &= (a^2)^2(b^{-4})^2 \\[5pt] &= a^{2\times 2} b^{(-4)\times 2} \\[5pt] &= a^4b^{-8} \end{align*}