石灰水の作り方

このページでは、家庭にある材料でできる石灰水の作り方を紹介しています。また、次ページでは石灰水の反応のしくみについて高校学習レベルで解説しています。

家庭にある材料で実験を行うことが出来ますが、危険なため、十分な知識と試験管などの実験道具が無い方は決して実験を行わないでください。

石灰水が白濁した様子


教科書で学習するレベル(目安)

  1. 小学生レベル
    1. 石灰水とは?
    2. 石灰水を作ろう!
    3. 二酸化炭素を検出しよう!

    実験内容的には小学生でもできますが、知識と適切な器具が無い場合は絶対に行わないでください。

  2. 高校生レベル(次ページ)
    1. 化学反応式で表す
    2. 塩化カルシウムで検出できないのはなぜ?

小学校レベル

石灰水(せっかいすい)とは?

石灰水(せっかいすい)とは、二酸化炭素(にさんかたんそ)検出(けんしゅつ)するために(もち)いられる水溶液(すいようえき)です。透明(とうめい)の石灰水に気体(きたい)()()み、石灰水が(しろ)(にご)った場合(ばあい)、その気体には二酸化炭素が(ふく)まれているということを()ることが()()ます。


石灰水は「消石灰(しょうせっかい・けしせっかい)」の水溶液です。消石灰はグラウンドのラインパウダーや、ガーデニングの(さい)土壌(どじょう)改良剤(かいりょうざい)として用いられています。


小学校(しょうがっこう)(はじ)めて学習(がくしゅう)し、中学校(ちゅうがっこう)でも(ふたた)び学習する、理科(りか)学習の際によく用いられる試薬(しやく)です。

石灰水を作ろう!

ここからは石灰水の作り方を、写真を用いて順に紹介します。

流れ

石灰水は家庭にある余りものを利用して作ることができます。海苔の包装とともに入っている乾燥剤の多くは「生石灰(せいせっかい・きせっかい)」というものを使用しており、これに水を加えることで消石灰に変化させることが出来ます。この消石灰の水溶液が石灰水です。

身近にあるものででき、作るのはとても簡単ですが、この実験には危険を伴います(発熱・アルカリ性物質の使用)。十分な知識と道具が無い方は決してこの実験を行わないでください。実験をする際は十分に注意し、自己責任のもと行ってください。

材料

以下のものを用いて実験を行いました。

用意したもの
  • 生石灰(微量)(海苔の乾燥剤として用いられていることが多い)
  • 水(10mL)
  • 試験管(2本)
  • ピペット(パスツールピペット)

試験管などの耐熱性実験器具をお持ちでない方は、この実験を行わないでください。

海苔の乾燥剤としては、生石灰の他に「シリカゲル」というガラス状の粒を使用したものもありますが、これでは実験を行うことが出来ません。また、「脱酸素剤」も生石灰とは異なるため実験には使えません。

乾燥剤は多少吸湿したものでも実験できます。長時間放置されたものは、すでに空気中の二酸化炭素と反応している可能性があり不適です。

手順

注意
注意

実験は十分な知識と設備のある方のみが行ってください。実験の際は安全に十分注意して行ってください。事故が起こった場合でも、当方は一切責任を負えません。

  • 物質を皮膚につけない、目に入れない、飲まない(アルカリ性物質を使用する)
  • 発熱によるやけどに注意(90℃を超える場合あり)
  • 発熱による火災に注意(燃えるものを近くに置かない)

  1. 1
    生石灰を取り出して、試験管に移す
    袋を開けて中に入っている生石灰の固体を試験管に移します。乾燥剤が粒状の場合は、これを5粒ほど用いれば十分です(まだ吸湿していない状態です)。乾燥剤が粉状になっている場合は、耳かき1杯程度を用いてください(この場合すでに吸湿しています)。
    試験管と石灰乾燥剤
  2. 2
    生石灰に水を加える。
    容器に入れた生石灰に水を加え、10分程度待ちます。温度上昇を和らげるために、必ず生石灰の体積の10倍以上の水を一気に入れてください。この際、化学反応が起きて発熱するため、手を触れないようにしてください(すぐに発熱せず、水を加えて3分後くらいに起こることがあります)。
    乾燥剤が粉状だった場合は、すでに空気中の水とこの反応を起こしているので発熱しません。
    生石灰に水を加えた様子
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    良くかき混ぜて放置する。
    水を入れて10分ほどすると、粒状だった生石灰が粉状に変化します。粉末になったら、容器をよく振って混ぜ、その後2~3時間程度放置し、粉末が完全に沈殿するのを待ちます。水溶液はアルカリ性のため、周りに飛び散らないようにします。特に目に入らないように気を付けましょう。
    消石灰を水によく溶かした様子
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    上澄み液を取り出す
    水中の粉末が完全に沈殿し、上澄み部分が透明になったのを確認します。確認できたら、上澄み液をピペットでゆっくりと取り出して別の試験管に移します。沈殿が微細なため、慎重に吸い上げないと沈殿が舞い上がって混入してしまいます。この上澄み液が石灰水です。
    消石灰が沈殿し、上澄み液として石灰水が出来た様子

これで石灰水を作ることが出来ました。次はこの石灰水で二酸化炭素を検出してみましょう。

二酸化炭素を検出しよう!

上の手順で石灰水を作ることが出来ました。それではここに呼気(吐き出した息)を吹き込んで、石灰水が白く濁ることを確認してみましょう!

手順

  1. 1
    石灰水を少量(3mL程度)別の試験管に取る。
    上で準備した石灰水を用います。溶けきらなかった消石灰の沈殿が残っていると、最初から石灰水が白濁してしまうので検出ができません。
    石灰水を試験管に移した様子
  2. 2
    パスツールピペットで息を吹き込む
    石灰水に息を吹き込みます。しばらくすると石灰水が白濁するのが分かると思います。決して石灰水を吸わないようにしましょう。写真では新品のパスツールピペットを使っていますが、ストローでも構いません
    石灰水が二酸化炭素と反応して白濁した様子

皆さんはうまく実験できたでしょうか?

この石灰水を使って、息を吸ってからすぐに吐き出した息と、しばらく呼吸を我慢してから吐き出した息では、石灰水が濁るまでに必要な息の量がどれくらい違うか?を比べてみても面白いと思います。

石灰水を作る時に生じた消石灰の沈殿は、水気を切ったのちに燃えないゴミとして廃棄してください。上澄み部分の石灰水はアルカリ性ですので、大量の水で薄めて流してください。


上の動画は、石灰水に二酸化炭素を吹き込んだ様子です。左の丸底フラスコにはドライアイスが入っています。


次ページでは石灰水が反応する仕組みを説明しています。