解の公式による二次方程式の解き方

二次方程式の解の公式は、次の通りです。

二次方程式の解の公式

二次方程式

\[ ax^2 + bx + c = 0 \]

の解は

\[ x = \frac{-b\pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \]

このページでは、解の公式を使って二次方程式を解く方法と、解の公式の導き方、そして解の公式から得られる判別式解と係数の関係について説明しています。



もくじ

  1. 解の公式を使って二次方程式を解く方法
    1. b = 2b' とおいた解の公式
  2. 解の公式の導き方
    1. b = 2b' とおいた解の公式の導き方
  3. 判別式と実数解の個数
  4. 解と係数の関係

解の公式を使って二次方程式を解く方法

二次方程式は、次に示す解の公式を使って解くことができます。

二次方程式の解の公式

二次方程式

\[ ax^2 + bx + c = 0 \]

の解は

\[ x = \frac{-b\pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \]

二次方程式の各項を整理して、 = 0 の形に整えたら、各項の係数 a, b, c を上に示した解の公式に代入することで、二次方程式を解くことができます。

それでは、解の公式を使って二次方程式を解いてみましょう。

$x^2 +3x -2 = 0$ を解け。

上で示した解の公式に、各項の係数 a = 1, b = 3, c = -2 を代入するだけで、この二次方程式を解くことができます。

\begin{align*} x &= \frac{-b\pm \sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \\[5pt] &= \frac{-3\pm \sqrt{3^2 -4\cdot 1 \cdot (-2)}}{2\cdot 1} \\[5pt] &= \frac{-3\pm \sqrt{17}}{2} \\[5pt] \end{align*}

このようにして、因数分解もせず、公式に代入するだけで二次方程式を解くことができました。

解の公式を使って計算するとき、根号の中の数はできるだけ簡単な形にし、もちろん分数を約分できる場合は約分をします。

この解の公式の導き方は、「解の公式の導き方」で説明しています。

b = 2b' とおいた解の公式

二次方程式の解の公式で、b = 2b' とおくと、解の公式は次のように変形できます。二次方程式の x の係数が偶数の場合は、これを用いることで、二次方程式の計算を簡単にできます。

二次方程式の解の公式(b = 2b' とおいた場合)

二次方程式

\[ ax^2 + 2b'x + c = 0 \]

の解は

\[ x = \frac{-b'\pm \sqrt{b'^2 -ac}}{a} \]

x の係数 b が偶数の場合、その半分の値 b' を使うことで、ルートの中身の計算と約分の手間を減らすことが出来るのです。

それでは、例題を解いてみましょう。

$3x^2 + 4x -2$ を解け。

この二次方程式の x の係数 4 は偶数です。よって、b = 2b' とおいた解の公式を用いて、計算を簡単にすることができます。

上に示した解の公式の b' に x の係数 4 の半分の値 2 を代入すると、次のように解を求めることができます。

\begin{align*} x &= \frac{-b'\pm \sqrt{b'^2 -ac}}{a} \\[5pt] &= \frac{-2\pm \sqrt{2^2 -3\cdot (-2)}}{3} \\[5pt] &= \frac{-2\pm \sqrt{10}}{3} \\[5pt] \end{align*}

この解の公式の導き方は、「b = 2b' とおいた解の公式の導き方」で説明しています。

解の公式の導き方

二次方程式の解の公式は、二次方程式を(x を含む式)2 = (定数)の形にしてから、両辺の平方根を取ることで計算できます。

二次方程式の一般形 $ax^2 + bx +c = 0 $ を以下の手順で計算していくと、解の公式を得ることができます。

\[ ax^2 +bx +c = 0\quad(a\neq 0) \]

この両辺を $x^2$ の係数 $a$ で割って

\[ x^2 +\frac{b}{a}x +\frac{c}{a} = 0 \]

定数項を右辺に移項して

\[ x^2 +\frac{b}{a}x = -\frac{c}{a} \]

両辺に $x$ の係数の半分の 2 乗を加えると

\[ x^2 +\frac{b}{a}x +\left( \frac{b}{2a} \right)^2 = -\frac{c}{a} +\left( \frac{b}{2a} \right)^2\]

左辺は平方(2乗)の形にし、右辺は整理すると

\[ \left( x + \frac{b}{2a} \right)^2 = \frac{b^2 -4ac}{4a^2}\]

平方根を求めて

\[ x + \frac{b}{2a} = \pm \frac{\sqrt{b^2 -4ac}}{2a}\]

$x=$ の形に整理すると

\[ x = \frac{-b \pm\sqrt{b^2 -4ac}}{2a}\]

よって、二次方程式の解の公式を得ることができました。

b = 2b' とおいた解の公式の導き方

b = 2b' とおいた解の公式は、一般の解の公式の b に 2b' を代入して計算することで得ることができます。

計算の過程で、ルートの中を 4 でくくれて、この 4 は ルートの外に出すと 2 になり、分子と分母を 2 で割って約分できることを確認してください。


一般の解の公式

\[ x = \frac{-b \pm\sqrt{b^2 -4ac}}{2a}\]

に $b=2b'$ を代入すると

\begin{align*} x &= \frac{-2b' \pm\sqrt{(2b')^2 -4ac}}{2a} \\[5pt] &= \frac{-2b' \pm\sqrt{4b'^2 -4ac}}{2a} \\[5pt] &= \frac{-2b' \pm\sqrt{4(b'^2 -ac)}}{2a} \\[5pt] &= \frac{-2b' \pm 2 \sqrt{b'^2 -ac}}{2a} \\[5pt] &= \frac{-b' \pm \sqrt{b'^2 -ac}}{a} \\[5pt] \end{align*}

よって、b = 2b' とおいた解の公式を得ることができました。

判別式と実数解の個数

解の公式のルートの中身 $b^2 -4ac$ を判別式といい、一般に $D$ と書き表します。

解の公式より、この判別式の符号によって、二次方程式の実数解の個数を求めることができます。

二次方程式 $ax^2 + bx +c =0$ の判別式を $D = b^2 -4ac$ とすると、

$D\gt 0 \quad \Longleftrightarrow$ 異なる 2 つの実数解を持つ

$D= 0 \quad \Longleftrightarrow$ 1 つの実数解(重解)を持つ

$D\lt 0 \quad \Longleftrightarrow$ 実数解を持たない

このように判別式から実数解の個数を求められる理由を確認しましょう。

解の公式

\[ x = \frac{-b \pm\sqrt{b^2 -4ac}}{2a} \]

のルートの中身(= 判別式 $D$)が正であれば、ルートについた ± のため、異なる 2 つの実数解を持つことが分かります。ルートの中身が 0 であれば、±0 = 0 のひとつだけなので、実数解は 1 つだけとなります。

ルートの中身が負の数の場合、2 乗して負の数になる数は実数の範囲には存在しないので、実数解は持たないということになります。このような二次方程式は、虚数解を持つことになります。

よって、判別式の符号から、実数解の個数を求めることができます。


練習問題を解いてみましょう。

二次方程式 $3x^2 +9x +5=0$ の実数解の個数を求めよ。

判別式 $D=b^2-4ac$ を計算すると

\begin{align*} D &=b^2-4ac \\[5pt] &= 9^2 -4\cdot 3 \cdot 5 \\[5pt] &= 81 - 60 \\[5pt] &= 21 \gt 0 \end{align*}

判別式が正なので、この二次方程式は異なる 2 つの実数解を持つことが分かりました。

解と係数の関係

二次方程式の解と係数には、次に示す解と係数の関係が成り立ちます。

解と係数の関係

二次方程式 $ax^2 +bx +c =0$ の 2 つの解を $\alpha,\,\beta$ とすると、

\[ \alpha + \beta = -\frac{b}{a} \]

\[ \alpha \beta = \frac{c}{a} \]

この関係式は、解の公式により一般に求まった二次方程式の解を使って $\alpha$ と $\beta$ の計算をすることで得られます。

解の公式のルートの中身 $b^2-4ac$ を判別式 $D$ とおくと

\begin{align*} \alpha + \beta &= \frac{-b+\sqrt{D}}{2a} + \frac{-b-\sqrt{D}}{2a} \\[5pt] &= -\frac{b}{a} \end{align*}

\begin{align*} \alpha \beta &= \frac{-b+\sqrt{D}}{2a} \cdot \frac{-b-\sqrt{D}}{2a} \\[5pt] &= \frac{b^2-D}{4a^2} \\[5pt] &= \frac{b^2-(b^2-4ac)}{4a^2} \\[5pt] &= \frac{c}{a} \\[5pt] \end{align*}

よって、二次方程式の解と係数の関係を得ることができました。