ホールピペット - 化学実験器具一覧

ホールピペットは一定体積の液体を量り取るために用いられます。このページでは、ホールピペットの用途、使い方及び注意点を説明しています。

ホールピペットの使用方法については高校で学習します。高校で化学を学習していれば、実験で使わせてもらえるのと思います。

ホールピペット


もくじ

  1. ホールピペットとは
  2. ホールピペットの使い方
  3. ホールピペット使用上の注意

ホールピペットとは

ホールピペットは、一定体積の液体を取り出すための器具です。別名、全量ピペット、定容ピペットなどとも呼ばれます。

ピペットの中で最も精度が高く、研究室などで用いられます。ホールピペットで一定体積の液体を取り、それをメスフラスコで一定濃度に希釈するという使われ方もよくされます。

壁面には「TD」と書かれており、これは出用(To Deliver)を表します。つまり、標線まで液体を吸い上げ、その全量をピペットから出したときの量が表示された体積に等しいというわけです。入用のメスフラスコとは対照的な関係です。

値段の相場は、10mLのもので650円程度。正確な体積を計り取る器具なので、同容量の駒込ピペットに比べると倍以上の値段がします。

ホールピペットの使い方

ここでは口で液体を吸い上げて使う方法を説明しています。有害物質の場合は安全ピペッターを使用します。

  1. ホールピペットの先端を、取り出す液体が入った容器の底までつけ、標線の少し上まで(口で)吸い上げる(有害物質の場合は安全ピペッターを使う)。
  2. すぐに手で栓をする。
  3. 手をゆるめて、メニスカスの下端を標線に合わせる。
  4. 容器の内壁に先端を付け、液体を流出させる。
  5. 手で栓をし、もう片方の手でホールピペットの膨らみ部分をつかんで温め、最後の一滴を出す。

ホールピペット使用上の注意

ホールピペットは体積を正確に量り取る器具であるため、操作も正確に行う必要があります。以下、いくつかの注意点を挙げます。

  • 液体を吸い出す際は、必ずホールピペットの先端を容器の底までつけるようにします。吸い出す途中に液面が先端よりも下にくると、急激に吸い上げられ、大変危険です(液体ではなく空気が吸い上げられるため)。
  • 容量の小さなホールピペットでは、ふくらみ部分を手で温めても最後の一滴が落ちない場合があります。その場合は少し息を吹き込みます。
  • 精密器具のため、加熱乾燥はしません。ホールピペットが水などで濡れている場合は、共洗い(使用する溶液で2~3回洗う←ホールピペットを軸方向にぐるぐる回しながら)をしてから使用します。

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