るつぼ - 化学実験器具一覧
るつぼは、中に物質を入れて高温で加熱し、溶融・焙焼などを行うための耐熱性をもった器具です。
高校の化学で、塩化ナトリウムを融解させて電気伝導性が現れることを説明するのに使われています。
もくじ
るつぼとは
るつぼは、中に物質を入れて高温で加熱し、溶融・焙焼などを行うための耐熱性をもった器具です。磁性・金属製・石英製・黒鉛製など様々な種類があり、用途に応じて使い分けられます。
高温にしたい場合は、蓋を被せます。さらに高温にしたいときは、マッフルという覆いをるつぼ全体にかぶせます。高温になったるつぼを持つときは、るつぼばさみを使います。
使用する場面には、重量分析があります。重量分析をする際は、定量分析用濾紙で濾過した物質を、濾紙ごとるつぼに入れて強熱し、乾燥させます。定量分析用濾紙は灰分が非常に少ないため、濾紙はほぼ完全に燃えます。そして、冷却後に秤量し(←質量を量り)、もう一度加熱→冷却→秤量し、質量が一定になるまでこの操作を続けます。
分析化学研究室の教授が、かつて学生実験に使っていたという大量の白金るつぼを見せてくれたことがありました。あれ、いくら分するんだろう…たぶん数百万はしますね。白金って結構柔らかいんだな~って思いました。るつぼばさみの先端も白金でコーティングされていましたね。
高校化学では、塩化ナトリウムを融解させると電気伝導性をもつようになるというのがよく紹介されています。イオン結晶の固体には電気伝導性がないけど、液体にすると伝導性を持つようになるというやつです。
他にも、ホウ砂と二酸化ケイ素と酸化鉛(Ⅱ)の粉末を混ぜて、るつぼに入れて加熱することでガラスを作るというのが紹介されていたりもします。
るつぼの使い方
三脚架やマッフルの上に載せ、バーナーの炎を直接当てて強熱します。
持ち運ぶ際は、るつぼばさみを用います。
重量分析において、沈殿を乾燥・恒量化するには、次のようにします。
- るつぼの中に濾紙ごと沈殿を入れる。るつぼは三脚架の上に載せる。
- 弱火(バーナーの炎がるつぼに当たらない程度)で乾燥させる。
- るつぼを傾け、還元炎で炭化する。
- 空気を入れながら、灰化する。
- 蓋をして、酸化炎で一定時間強熱する。
- 強熱が終了したら、るつぼにすすがついていないことを確認する。すすがついている場合は、酸化炎で燃やす
- るつぼがある程度冷めたら、デシゲーターに入れて、常温まで冷却する。
- 秤量する
以上の操作を繰り返し、連続して同じ質量となったら、一定重量になったことになります(恒量化)。
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