漏斗 - 化学実験器具一覧

漏斗(ろうと)は、液体を口の細い容器に入れたり、濾過したりする際に用いる器具です。このページでは漏斗の用途と使い方、注意点を説明しています。

三角型のものは、小学校で濾過の実験を学習するときに登場しますね。濾紙を折らずに使う、吸引濾過用の漏斗などもあるので、ここで説明しています。

漏斗(ロート)


もくじ

  1. 漏斗とは
  2. 漏斗の使い方
  3. 漏斗使用上の注意

漏斗とは

漏斗(ろうと)は、液体を口の細い容器に入れたり、濾過したりする際に用いる器具です。一般的には、円錐形部分の先端に細長い管が付いた形状をしています。英語では "funnel" と呼びます。

材質はガラスの他、ステンレス、陶器、TPX、PP、PTFE、PFAのものが販売されています。

一般的な三角型の漏斗の他、次のように様々な種類の漏斗も存在します

分液漏斗
互いに交じり合わない2種類の液体層を分離するための漏斗。抽出(目的物質だけをよく溶かす溶媒を用いて、液体の混合物から目的物質を分離する方法)操作に用いられる。高校の有機化学で登場する。スキープ形と丸形がある。スキープ形は先端がとがっており、より精密に分離操作ができる。
活栓付漏斗
脚の部分にコックがついており、漏斗からの滴下量を調整できる。中学校で酸素や二酸化炭素の作り方を学習するときに、登場する。
ブフナー漏斗
吸引濾過に用いる。円盤に多数の細孔が開いた目皿がある。濾紙は折らずにこの目皿に置く。
ブフナー漏斗
ブフナー漏斗
桐山漏斗
吸引濾過に用いる。平らな漏斗の底に溝が切り込まれている。液体はこの溝を通り、漏斗の脚につながるただ一つの小さな穴を通って、流れ出す。ブフナー漏斗に比べ穴が少ないので、濾紙が破れる可能性が低い。
粉末漏斗
脚の径が大きく、粉末を注入するために用いられる。
筋入り漏斗
漏斗の内側に十数本の筋が入っている。濾紙と漏斗の間に隙間を確保することで、ろ液が通りやすくなっており、濾過速度が速まる。
安全漏斗
脚の部分が上下方向に一回転している漏斗。滴下漏斗の要領でフラスコに挿して気体を発生させる際、ここに液が溜まることで、気体が漏斗へ上がってくるのを防ぐ役割がある。脚がただ一回転しているものを「無球」、この途中に一つ球があるものを「一球」、途中に二つ球があるものを「二球」と呼ぶ。
秤量皿漏斗
秤量皿と漏斗の機能を兼ね備えた器具。皿の部分に試薬を秤取って秤量した後、細い口の部分を漏斗のように用いて他の容器に移せる。
ガラスフィルター
濾紙の代わりにガラス繊維で濾過をするもの。吸引濾過に利用する。薬品に対する耐性が強く、洗って再利用する。

吸引濾過とは、漏斗を吸引瓶に密着させて挿し、吸引瓶内をアスピレーターにより減圧することで、濾過速度を速めるものです。大学の実験ではよく用いられます。

母液の温度が低下すると、目的でない結晶が生じてしまうような場合は、保温漏斗を用いて熱時濾過をします。

一般的な円錐形のガラス漏斗は、400円程度で購入できます。

漏斗の使い方

三角型の一般的な漏斗

濾過する際は、漏斗台を用いて漏斗を固定します。

自然濾過の方法については濾紙の使い方の項目に詳しく書いていますので、そちらをご覧ください。特に脚の部分に水をためるようにすると、濾過速度を速めることが出来ます。

漏斗を使ってビュレットに液体を注ぐ際は、漏斗とビュレットの間に空気が通る隙間をつくるようにします(間にマッチ棒を挟むなど)。そうしないと、うまくビュレット内に注入されず、液があふれてしまいます。また、滴定時には必ず漏斗を外します(滴定途中に漏斗から液体がたれてしまうため)。

分液漏斗

  1. 試料および、抽出用の溶媒を入れる。
  2. 栓をする。この時、空気孔と栓の溝をずらしておく。
  3. 栓を押さえながら、分液漏斗を良く振り混ぜる。途中でコックを開けて蒸気を逃がす。この操作を数回繰り返す。
  4. 静置して、液体が層に分離するのを待つ。
  5. 空気孔と栓の溝を合わた後、コックを開けて下層の液体をビーカーなどに取り出す。

ブフナー漏斗・桐山漏斗

  • 初めに、吸引しながら濾紙を溶媒で濡らし、漏斗に密着させる。
  • 濾過が終わったら、吸引瓶を大気圧に戻してから吸引を終える。
ブフナー漏斗の接続方法
ブフナー漏斗の接続方法

使用上の注意

脚の付け根は折れやすいので、ゴム栓に差すときは力を加えすぎずに、まっすぐに差し込みます。また、メスフラスコに挿しっ放しにすると、メスフラスコが倒れやすくなります。

分液漏斗を振る際は、必ず空気孔と栓の溝をずらし、栓を手で押さえた状態で振り混ぜます。この時、脚の先端を人に向けてはいけません。結構強く振り混ぜる必要があります。

吸引濾過をした結晶や沈殿の洗浄は、一度吸引をやめて吸引瓶内を大気圧に戻してから行います。洗浄の際、ガラス棒で底の濾紙をずらしてしまうと、せっかくの結晶や沈殿が流れ出てしまうので注意します。

他の実験器具の用途や使い方も解説しています。