対数関数 log x の微分公式とその証明

対数関数 $ \log x $ を微分して得られる導関数は、以下の通りです。

\begin{align*} (\log x)' = \frac{1}{x} \end{align*}

また、一般の対数関数 $ \log_a x $ の微分について、以下の公式が成り立ちます。

\begin{align*} (\log_a x)' = \frac{1}{x \log a} \end{align*}

このページでは、対数関数 log x の微分公式と、定義に従って微分する証明の方法を説明しています。



もくじ

  1. 対数関数 log の導関数(公式)
  2. 対数関数 log の微分の証明
    1. 自然対数 e の定義
    2. 自然対数 log x の微分
    3. 一般の対数 loga x の微分
    4. 真数部分に絶対値がついた log|x| の微分

対数関数 log の導関数(公式)

まずは対数関数を微分して得られる導関数を公式として示します。

自然対数 log x (= loge x ) と一般の対数 loga x の導関数は次の通りです。

\begin{align*} (\log x )' &= \frac{1}{x} \\[5pt] (\log_a x)' &= \frac{1}{x \log a} \\[5pt] \end{align*}

また、対数の真数部分に絶対値がついた log|x| および、log|f(x)| の導関数は次の通りです。

\begin{align*} (\log |x| )' &= \frac{1}{x} \\[5pt] (\log |f(x)| )' &= \frac{f'(x)}{f(x)} \\[5pt] \end{align*}

このページの続きでは、これらの微分公式の証明方法を示しています。

対数関数 log の微分の証明

自然対数 e の定義

対数関数 log x を微分する過程で、自然対数 e の定義が必要であるため、確認しておきましょう。

自然対数 e は次のように定義されます。

\begin{align*} e &= \lim_{t \to 0} (1+t)^{\frac{1}{t}} \\ &= \lim_{n \to \infty} \left(1+\frac{1}{n} \right)^{n} \\ \end{align*}

上式の右辺はある値に収束することが知られていて、その値を自然対数 e と定義しています。

なお e は無理数であり、e = 2.7182818… です。

自然対数 log x の微分

自然対数 log x の微分は、導関数の定義より以下のように求められます。

\begin{align*} (\log x)' &= \lim_{h \to 0} \frac{\log (x+h)-\log(x)}{h} \\[5pt] &= \lim_{h \to 0} \frac{1}{h} \log \frac{x+h}{x} \\[5pt] &= \lim_{h \to 0} \frac{1}{x} \cdot \frac{x}{h} \log \left( 1+\frac{h}{x} \right) \\ \end{align*}

ここで、$ \frac{h}{x} = k $ とおくと、$ h \to 0 $ のとき $ k \to 0 $ であるから、

\begin{align*} (\log x)' &= \lim_{k \to 0} \frac{1}{x} \cdot \frac{1}{k} \log \left( 1+k \right) \\[5pt] &= \frac{1}{x} \lim_{k \to 0} \log {\left( 1+k \right)}^{\frac{1}{k}} \\ \end{align*}

自然対数 e の定義

\begin{align*} e &= \lim_{k \to 0} (1+k)^{\frac{1}{k}} \\ \end{align*}

であったから、これを用いて、

\begin{align*} (\log x)' &= \frac{1}{x} \log e \\[5pt] &= \frac{1}{x} \\ \end{align*}

よって、log x の微分について、以下の公式が成り立ちます。

\begin{align*} (\log x )' &= \frac{1}{x} \end{align*}

一般の対数 loga x の微分

一般の対数関数 loga x の導関数は、log x の微分を用いて、次のように求められます。

\begin{align*} (\log_a x)' &= { \left( \frac{\log x}{\log a} \right) }' \\[5pt] &= \frac{1}{\log a} (\log x)' \\[5pt] &= \frac{1}{x \log a} \\ \end{align*}

よって、次の公式が成り立ちます。

\begin{align*} (\log_a x)' &= \frac{1}{x \log a} \\[5pt] \end{align*}

真数部分に絶対値がついた log|x| の微分

真数に絶対値がついた log|x| の微分は、x が正のときと負のときで場合分けして考えます。

$ x \gt 0 $ のとき、

\begin{align*} (\log |x|)' &= (\log x)' \\[5pt] &= \frac{1}{x} \\ \end{align*}

$ x \lt 0 $ のとき、log|x| = log(-x) であるから、合成関数の微分法を用いると、

\begin{align*} (\log |x|)' &= \left\{ \log (-x) \right\}' \\[5pt] &= \frac{(-x)'}{-x} \\[5pt] &= \frac{1}{x} \end{align*}

よって、x が正のときと負のときを合わせると、以下の公式が成り立ちます。

\begin{align*} (\log |x| )' &= \frac{1}{x} \end{align*}

また、同様に合成関数の微分を用いると、

\begin{align*} (\log |f(x)| )' &= \frac{f'(x)}{f(x)} \\[5pt] \end{align*}

となります。

次のページでは、微分の公式を一覧にまとめています。