分数の割り算のやり方

分数の割り算は、割る数を逆数にして掛けることで計算できます。

文字式で表すと次のようになります。

分数の割り算のやり方

\begin{align*} \frac{a}{b}\div\frac{c}{d} = \frac{a}{b}\times\frac{d}{c} \end{align*}

このページでは、分数の割り算のやり方計算のコツを例題と共に説明しています。そして割る数を逆数にして掛ける理由も説明しています。


もくじ

  1. 分数の割り算のやり方
    1. 分数÷分数 の計算
    2. 分数÷整数 の計算
    3. 計算のコツ
  2. 割る数を逆数にして掛ける理由

分数の割り算のやり方

分数の割り算は、割る数を逆数にして掛けることで計算できます。逆数とは、分数の分母と分子を入れ替えたものです。

具体的に、「分数÷分数」の形と、「分数÷整数」の形について、それぞれの解き方を見ていきましょう。

分数÷分数 の計算

分数÷分数の計算のやり方を、例題を使って確認してみましょう。

$\frac{1}{2}\div\frac{3}{5}$ を計算せよ。

分数の割り算は、割る数を逆数にして掛けることで計算できます。この操作を、次の式の1行目から2行目で行っています。

\begin{align*} \frac{1}{2}\div\frac{3}{5} &= \frac{1}{2}\times\frac{5}{3} \\[5pt] &= \frac{1\times 5}{2 \times 3} \\[5pt] &= \frac{5}{6} \end{align*}

このように計算することができます。

分数÷整数 の計算

分数÷整数の計算も、割る数を逆数にして掛けるという考え方は変わりません。整数は分母が 1 の分数とみなすことができるので、その逆数は ~分の 1 の形になることを確認しておきましょう。

例えば、$3$ を分数で表すと $\frac{3}{1}$ になるので、その逆数は $\frac{1}{3}$ となります。

逆数の意味

\[ 3=\frac{3}{1} \,\underset{\text{逆数}}{\longrightarrow}\, \frac{1}{3} \]

これが分かれば、先ほどの分数÷分数の計算と同じように計算できます。例題を解いてみましょう。

$\frac{3}{5}\div2$ を計算せよ。

割る数の 2 を逆数 $\frac{1}{2}$ にして掛けます。

\begin{align*} \frac{3}{5}\div2 &= \frac{3}{5}\times\frac{1}{2} \\[5pt] &= \frac{3\times 1}{5\times 2} \\[5pt] &=\frac{3}{10} \end{align*}

計算のコツ

分数の割り算をするときのコツは、① 計算途中で約分できる場合は約分する ② 帯分数の割り算は仮分数に直してから計算する の2つがあります。それぞれ、詳しくい見ていきましょう。

計算途中で約分できる場合は約分する

分数計算をスムーズに行うには、計算途中で約分できるときは、そこで約分することが大事です。こうすることで、計算の最後に約分するときの手間を減らせます。次の問題を一緒に解いてみましょう。

$\frac{15}{8}\div\frac{5}{2}$ を計算せよ。

これまで同様に、割る数の逆数を掛けることで計算します。この時、分母と分子で約分できるので、できる限り約分しておきます。

\begin{align*} \frac{15}{8}\div\frac{5}{2} &= \frac{15}{8}\times\frac{2}{5} \\[5pt] &= \frac{3}{4}\times\frac{1}{1} \\[5pt] &= \frac{3}{4} \end{align*}

大きな数同士の公約数を求めるのは大変なので、計算途中で約分しておくことで、その手間を減らすことができますね。

帯分数の割り算は仮分数に直してから計算する

帯分数の割り算をするには、帯分数を仮分数に直してから計算します。

$2\frac{2}{3}\div1\frac{4}{5}$ を計算せよ。

帯分数を仮分数に直した後、割る数の逆数を掛けます。必要であれば、答えとして得られた仮分数を再び帯分数に直します。

帯分数と仮分数の変換方法は、「帯分数の計算方法と仮分数への書き直し方」をご覧ください。

\begin{align*} 2\frac{2}{3}\div1\frac{4}{5} &= \frac{8}{3}\div\frac{9}{5} \\[5pt] &= \frac{8}{3}\times\frac{5}{9} \\[5pt] &= \frac{40}{27} \\[5pt] \bigg( &= 1\frac{13}{27} \bigg) \end{align*}

最後の括弧で示した行は、前行の仮分数を帯分数に直した結果です。

割る数を逆数にして掛ける理由

分数の割り算の際に、なぜ「割る数の逆数を掛ける」形に変えるのでしょうか?その理由をご説明します。

例として、次の式が成り立つ理由を考えてみましょう。

\[ \frac{1}{4} \div \frac{2}{3} = \frac{1}{4} \times \frac{3}{2} \]

まず、割り算は分数の形に書き換えられることを思い出しましょう。このとき、割られる数は分子に、割る数は分母にきます。

よって、先ほどの割り算を分数の形に書き換えると次のようになります。

\[ \frac{1}{4} \div \frac{2}{3} = \frac{\frac{1}{4}}{\frac{2}{3}} \]

分数 分の 分数 の形になってややこしいですが、割り算を表しているという意味は変わりません。

この分数の分子と分母に $\frac{3}{2}$ を掛けて計算してみます。分子と分母に同じ数を掛けても、それは約分でき、1 を掛けることと同じなので、式の値は変わりません。

\begin{align*} \frac{\frac{1}{4}}{\frac{2}{3}} &= \frac{\frac{1}{4}\times\frac{2}{3}}{\frac{2}{3}\times\frac{3}{2}} \\[5pt] &= \frac{\frac{1}{4}\times\frac{2}{3}}{1} \\[5pt] &= \frac{1}{4}\times\frac{2}{3} \end{align*}

こうすることで、大きな分数の分母は 1 となるので、結果的に分子だけが残ります。

ところでこの計算結果 $\frac{1}{4}\times\frac{2}{3}$ は掛け算の形になっていますが、これは問題の式 $\frac{1}{4}\div\frac{3}{2}$ の割る数を逆数にして掛け算の形に変えたものになっていますね?

以上の操作より、分数の割り算は、割る数を逆数にして掛ければよいことが分かりました。


この証明をもう一度、文字式で示しておきます。

\begin{align*} \frac{a}{b}\div\frac{c}{d} &=\frac{\frac{a}{b}}{\frac{c}{d}} \\[5pt] &= \frac{\frac{a}{b}\times\frac{d}{c}}{\frac{c}{d}\times\frac{d}{c}} \\[5pt] &= \frac{\frac{a}{b}\times\frac{d}{c}}{1} \\[5pt] &= \frac{a}{b}\times\frac{d}{c} \\[5pt] \therefore \quad \frac{a}{b}\div\frac{c}{d} &= \frac{a}{b}\times\frac{d}{c} \end{align*}