円錐の表面積の求め方 - 公式と計算例
円錐の表面積を求めるには、側面を展開してできる扇形の面積の計算手順をつかむことが必要です。このページではその手順をご説明していますが、公式を使って表面積を求めることもできるので、まずはその公式をご紹介します。
円錐の表面積を求める公式は、次の通りです。
- 円錐の表面積を求める公式(小学生向け)
- 表面積 = 半径 × 半径 × 3.14(円周率) + 半径 × 母線の長さ × 3.14(円周率)
- 円錐の表面積を求める公式(文字式)
- \begin{align*} S &= \pi r (r+R) \\[5pt] &= \pi r^2 + \pi r\sqrt{r^2+h^2} \end{align*}
文字式の S は円錐の表面積、r は底面の円の半径、R は母線の長さを表します。母線の長さ R がわからない場合は、文字式 2 行目の通り底面の半径と円錐の高さから、三平方の定理を使って母線の長さ R を求めることができます(問題例)。円錐の体積を求めるには、この公式に値を代入します。
このページの続きでは、公式の導出方法も説明していますが、公式を使わずに、順番に計算する方法もお示ししますので、みなさんの必要に応じて使い分けてください。
もくじ
円錐の表面積を求める公式
前述の通り、円錐の表面積 S を求める公式は、次の通りです。
\begin{align*} S &= \pi r (r+R) \\[5pt] &= \pi \times \text{(底面の半径)} \times \{ \text{(底面の半径)} + \text{(母線の長さ)}\} \end{align*}
この式に出てくる文字の意味は、次の通りです。
- S
- 円錐の表面積(Surface area)
- π
- 円周率(= 3.14…)
- r
- 底面の円の半径(Radius)
- R
- 母線の長さ
公式の導出方法
立体の表面積は、展開図を書いて求めます。円錐の場合も同様に、展開図を書いて考えてみましょう。
ここでは、公式化するために、底面の半径 r 、母線の長さ R の円錐を考えます。
円錐の展開図を理解する上で大事なポイントは次の3点です。
- 側面を展開すると半径 R の扇形になる。
- 側面を展開してできる扇形の弧の長さと、底面の円周の長さは等しい。
- 半径が等しい扇形の面積は、弧の長さに比例する。
まず、底面は円なので、底面積はそのまま、$ \pi r^2 $ で求めることが出来ますね。
円錐の側面を展開すると、扇形になります。ここで、図に赤線で示した「扇形の弧」と「底面の円周」は、もともと接していたため、長さが等しいことに注目します。つまり、底面の円周は $ 2\pi r $ なので、扇形の弧の長さも $ 2\pi r $ になります。
最後に、扇形の面積は弧の長さに比例することを用います。半径 R の円周は $ 2\pi R $、面積は $\pi R^2 $ です。この円のうち、弧の長さ $ 2\pi r $ となる扇形の面積を求めればよいことが分かります。つまり、半径 R の円の面積に、「円周に対する弧の長さの割合」を掛ければよいのです。計算すると、
\begin{align*} \text{扇形の面積} &= \pi R^2 \times \frac{2\pi r}{2\pi R} \\[5pt] &= \pi Rr \end{align*}
となり、側面積が求まりました。よって円錐の側面積 S は、底面積と側面積を足し合わせて、
\begin{align*} S &= \pi r^2 + \pi Rr \\[5pt] &= \pi r(r+R) \end{align*}
となります。これが円錐の表面積を求める公式です。
続いては、実際に計算問題を解いてみましょう。
円錐の表面積を求める計算問題
底面の半径と母線の長さから体積を求める問題
次の問題は、公式を使って解く方法と、公式を使わずに解く方法の2種類をご紹介します。
底面の半径 2、母線の長さ 6 の円錐の表面積 S を求めよ。
公式を使って解く方法
円錐の表面積を求める公式を覚えていれば、ただそれに代入すればいいだけですね。$ r = 2, R=6 $ より
\begin{align*} S &= \pi r(r+R) \\[5pt] &= \pi \times 2 \times (2+6) \\[5pt] &= 16 \pi \\ \end{align*}
公式を使わずに解く方法
公式使わない場合は、一度展開図を書いて考えてみましょう。
まず、底面積は $ \pi r^2 = \pi \times 2^2 = 4\pi $ と求まります。
次に、「底面の円周の長さ」と「側面を展開してできた扇形の弧の長さ」は等しく、ともに $ 2 \pi r = 2 \pi \times 2 = 4 \pi $ です。
半径 6 の円の面積は $ \pi \times 6^2 = 36 \pi $、円周の長さは $ 2\pi R = 2\pi \times 6 = 12\pi $ です。よって弧の面積は、半径 6 の円の面積 $36\pi$ に、「円周の長さ $12\pi$ に対する弧の長さ $4\pi$ の割合」をかけて
\begin{align*} \text{側面積} &= 36\pi \times \frac{4\pi}{12\pi} \\[5pt] &= 12\pi \end{align*}
最後に、円錐の表面積は、底面積と側面積を足し合わせて
\begin{align*} S &= 4\pi + 12\pi \\[5pt] &= 16\pi \end{align*}
となります。
※ 補足
ちなみに、扇形の面積同様、扇形の中心角も弧の長さに比例します。よって、この円錐の側面を展開して得られた扇形の中心角 $\theta$ は
\begin{align*} \theta &= 360^\circ \times \frac{4\pi}{12\pi} \\[5pt] &= 120^\circ \end{align*}
と求まります。
底面の半径と高さから表面積を求める問題
次の問題は、中学3年で学習する三平方の定理を組み合わせて解きます。
底面の半径が 3、高さが 4 の円錐の表面積 S を求めよ。
まずは、母線の長さを求める必要があります。円錐の頂点、底面の円の中心、底面の円周上の点 の3点を通る断面を考えると三平方の定理より
\begin{align*} \text{母線の長さ} &= \sqrt{3^2+4^2} \\[5pt] &= 5 \end{align*}
と求まります。あとは、円錐の表面積を求める公式に代入すれば
\begin{align*} S &= \pi \times 3 \times ( 3+5 ) \\[5pt] &= 24 \pi \end{align*}
となります。
公式を使わなくても、もちろん答えは同じになりますので、ぜひ皆さんの手で計算してみてくださいね。
他の立体図形の表面積の求め方は、次のページでご覧になれます。