デシケーター - 化学実験器具一覧
デシケーターは主に固体を乾燥した状態で保存するための容器です。このページではデシケーターの用途と使い方を説明しています。
実際にデシケーターを使うのは、大学生になってからだと思います。肉厚ガラスでできているため高価で、割ってしまうとかなりのショックです…。
もくじ
デシケーターとは
デシケーターは主に固体を乾燥した状態で保存するための容器です。英語では "desiccator" といいます。
潮解性や吸湿性のある物質の保管や、液体中で生成させた沈殿の乾燥などに用いられます。
蓋の頂部に穴がない(常圧)デシケーターと、穴の開いた真空デシケーターの2種類があります。常圧デシケーターは底の部分に乾燥剤を入れることで乾燥させます。一方、真空デシケーターは、頂部の穴にゴム栓とコック付きのガラス管を取り付け、アスピレーターなどで減圧することで乾燥させます。詳しくは、下の「使い方」で説明します。
蓋と本体が無色透明の肉厚ガラス製で、磁製の中板が入っているものが一般的です。蓋と本体はすり合わせになっています。ほかに、褐色のものや、ポリカーボネート製、ステンレス製のものもあります。
値段は、一般的なガラス製のもので、2万円前後です。大きさや材質により異なります。
デシケーターの使い方
使用の手順に沿って、説明します。
- デシケーターを持ち運ぶ際は、蓋と本体をしっかりと支えて持ち運びます。
- 蓋と本体の間はすり合わせ部分にワセリンやグリースなどを塗り、均一に伸ばし広げます。
- 乾燥剤をデシケーターの下部(中板の下)に入れます。直接入れるのではなく、結晶皿などの容器に入れて置いた方が、交換が楽です。
- 試薬を中板の上に置きます。
- 蓋を閉めます。蓋と本体を5mm程度ずらした状態で蓋をしておくと、蓋が固着して開かなくなった時に開けやすくなります。
- 真空乾燥する場合は、上部のコックを開け、アスピレーターなどで徐々に減圧します(チューブの途中にトラップを挟んで減圧しましょう)。完全に減圧されたら、コックを閉めます。
- 乾燥終了後、減圧していた場合は、コックをあけて常圧に戻します。この時、デシケーター内に勢いよく入ってくる空気により試料が吹き飛ばされる恐れがあるため、空気が入ってくるガラス管にろ紙を当てながら、コックを開けるようにします。デシゲーター内が常圧に戻ると、ろ紙は自然に落ちます。
- 蓋をあける際は、蓋を横にスライドさせるようにして開けます。力を入れすぎると落として割る可能性があるので注意します。
- 完全に乾燥されたことを確認するには、試料を一度秤量し、再び乾燥させてから再度秤量し、重量変化がないことを確かめます。
デシケーター底部に入れる乾燥剤の種類は、シリカゲル、無水塩化カルシウム、濃硫酸、五酸化リン、水酸化カリウムなどです。
デシケーター使用上の注意
あまりにも濡れている物質の乾燥には不適です。事前に加熱乾燥させたり、濾紙で水分をとっておく必要があります。
デシケーターの蓋が本体に固着して開かなくなった場合に、無理に力を加えて蓋をスライドさせようとすると、勢いの余りデシケーターを落として割ったり、中の試薬を飛び散らせる原因となります。まずは減圧を解除していることを確認し、そのあとで、無理な力は加えず、横から木づちで気長に叩くなどの方法をとりましょう。
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