マグネチックスターラー・撹拌子 - 化学実験器具一覧
マグネチックスターラーは、容器内に入れた撹拌子を外部磁場によって回転させて、撹拌をする装置です。このページではマグネチックスターラーの用途と使い方を紹介しています。
高校の実験室などにも置かれているかもしれませんが、頻繁に使うようになるのは大学に入ってからになると思います。大学の実験では1時間加熱撹拌…という実験もよくあり、このような時には、このマグネチックスターラーがよく働いてくれます。
もくじ
マグネチックスターラーとは
マグネチックスターラーは、容器内に入れた撹拌子を外部磁場によって回転させて撹拌をする装置です。英語では "magnetic stirrer" といいます。
スターラー本体は、内部に永久磁石とそれを回転させるモーターが入っているタイプと、コイルに通電して電磁誘導により磁場を発生させるタイプの2種類があります。後者のものは、特に本体が薄い製品があります。
回転数は1分間の回転数 rpm(=revolutions per minute)で表され、製品により異なります。一般的には 100rpm~1500rpm 程度の範囲で速度調節をできるものが多いです。電磁スターラーは低速回転に強く、0rpm~という製品も存在します。
スターラーが持つ磁力の大きさにより、撹拌容量が決まっています。小型のスターラーでは最大1L程度の撹拌能力しかありませんが、超大型のものでは50Lまで撹拌できます。
撹拌しながら加熱ができるように、ホットプレートがついているものもあり、これは特にホットスターラーとも呼ばれます。高性能なものでは、溶液に直接温度計を差し込み、試料温度を直接コントロールできるものも存在します。
値段はスペックによって大きく違いますが、3万円前後が相場です。
撹拌子の種類
撹拌子(stirring bar)には、様々な種類があります。小型の磁石に耐薬品性を持たせるための被覆しており、この被覆には、テフロンやガラスがあります。
形状は、直線の棒状のものや、中心がやや膨らんだ棒状のもの、中心に帯状の突起がついた八角形型のものがよく用いられます。ほかに、ナスフラスコなど底部がゆがんだ容器用のフットボール型のものや、沈殿をかき上げやすくした三角形型のもの、渦を巻きやすくした十字型のもの、試験管用の小型のものなどがあります。
マグネチックスターラーの使い方
撹拌する溶液が入った容器内に撹拌子を入れ、スターラーの上にセットしてから、撹拌目盛りや温度目盛りを徐々に上げます。
撹拌終了後は、撹拌し取り出し棒という磁石のついた棒(耐薬品性)を使って撹拌子を取り出すか、容器の外から強力な磁石で撹拌子が出ないように固定してから、容器内の溶液を処理します。
使用上の注意
- 容器内に撹拌子を入れる際は、容器の側面を添わせながらそっと入れます。このとき、容器はスターラーの上に置かないようにします。勢いよく容器内に落とすと、容器にひびが入ったり割れたりする原因となります。特にスターラー上では磁石により強く引きつけられるため、破損する可能性が大きくなります。
- 撹拌を始める際は、ゆっくりと回転数を上げていきます。勢いよく回転数を上げると、中の溶液が飛び散る原因となります(ある程度の制御はスターラー自身が行ってくれるものが多いです)。
- ホットプレートにより加熱した場合は、使用後もかなりプレートが熱くなっているため、触らないようにします。機種によっては、天板が高温であることを知らせるランプが点灯するので、これが消えるまで電源を切らないようにします。
- 撹拌後の溶液を濾過した際などは、撹拌子をろ紙と一緒に捨ててしまわないように注意します。
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