三角関数の公式一覧

このページでは、高校学習レベルの三角関数の公式を一覧にしています。三角関数の定義をはじめ、三角関数の相互関係、周期性、加法定理、積和・和積、微分の公式を掲載しています。また、三角形に応用したときの正弦定理や余弦定理も、図と共に掲載しています。

導出方法はみなさん自身でご確認の上、公式を確認してくださいね。



もくじ

  1. 三角関数の定義
    1. 一般角に対する定義
    2. 弧度法(ラジアン)について
    3. 直角三角形を用いた三角比の表現
  2. 三角関数のさまざまな基本公式
    1. 三角関数の相互関係の式
    2. 三角関数の周期性と対称性から得られる公式
  3. 加法定理と関連する公式
    1. 加法定理
    2. 2倍角の公式
    3. 3倍角の公式
    4. 半角の公式
  4. 三角関数の合成公式
  5. 積和・和積の公式
  6. 微分・積分の公式
  7. 三角関数の三角形への応用
    1. 正弦定理
    2. 余弦定理
    3. sin を使った面積公式
    4. ヘロンの公式(参考)
  8. 2直線のなす角と傾きの関係

三角関数の定義

一般角に対する定義

一般角 θ に対する、三角関数(sin, cos, tan)の定義は次の通りです。

座標平面上に、原点 $\mathrm{O}$ を中心とする半径 $r$ の円を描く。$x$ 軸の正の部分を始線として、角 $\theta$ の動径と円 $\mathrm{O}$ との交点の座標を $\mathrm{P}(x,y)$ としたとき、$\sin\theta, \cos\theta, \tan\theta$ をそれぞれ次のように定義する。

三角関数の定義
三角関数の定義

\begin{align*} \sin \theta = \frac{y}{r} \\[5pt] \cos \theta = \frac{x}{r} \\[5pt] \tan \theta = \frac{y}{x} \\[5pt] \end{align*}

ただし、$x=0$ となるような $\theta$ に対して、$ \tan \theta $ は定義されない。

弧度法(ラジアン)について

三角関数に用いる角度は、一般にラジアンを用います。ラジアンは次のように定義されます。

1 ラジアンは円の半径の長さに等しい弧に対する中心角の大きさ

1ラジアンの図示
1ラジアン

このページで示している三角関数の公式も、すべてラジアンで表記しています。

ラジアンに関して詳しくは、『ラジアン(弧度法)の意味と「度」への変換方法』をご覧ください。

直角三角形を用いた三角比の表現

三角比とは、三角関数を角度 0° ~ 90° の範囲に限定して考えたものです。三角比は、直角三角形を使って、次のように表されます。

直角三角形を用いた三角比の表現
直角三角形を用いた三角比の表現

\begin{align*} \sin A = \frac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AB}} \\[5pt] \cos A = \frac{\mathrm{AC}}{\mathrm{AB}} \\[5pt] \tan A = \frac{\mathrm{BC}}{\mathrm{AC}} \\[5pt] \end{align*}

三角関数のさまざまな基本公式

三角関数の相互関係の式

三平方の定理および、タンジェントの定義より、次の3つの関係式が得られます。どれもすべて重要ですので、公式として覚えましょう。

\begin{align*} \sin^2 \theta + \cos^2 \theta &=1 \\[5pt] 1+\tan^2 \theta &= \frac{1}{\cos^2 \theta} \\[5pt] \tan \theta &= \frac{\sin \theta}{\cos \theta} \\[5pt] \end{align*}

三角関数の周期性と対称性から得られる公式

三角関数には、周期性対称性があります。この性質より、以下の関係式が得られます。

なお、周期性とは、角 θ の大きさに対して、関数(sin θ, cos θ, tan θ)の値が、一定の θ の間隔で繰り返されることを言います。また対称性とは、三角関数のグラフが、対称軸や対称中心を持つことをいいます。

三角関数の場合は、ある角度 θ を動かすと、別の三角関数に変換できることも多いです。


三角関数はすべて、2nπ の周期性を持ちます。

\begin{align*} \sin (\theta + 2n\pi ) &= \sin \theta \\[5pt] \cos (\theta + 2n\pi ) &= \cos \theta \\[5pt] \tan (\theta + 2n\pi ) &= \tan \theta \\[5pt] \end{align*}

$-\theta$ の三角関数

\begin{align*} \sin (-\theta) &= -\sin \theta \\[5pt] \cos (-\theta) &= \cos \theta \\[5pt] \tan (-\theta) &= -\tan \theta \\[5pt] \end{align*}

$\theta + \frac{\pi}{2}$ の三角関数

\begin{align*} \sin \left(\theta + \frac{\pi}{2} \right) &= \cos{\theta} \\[5pt] \cos \left(\theta + \frac{\pi}{2} \right) &= -\sin{\theta} \\[5pt] \tan \left(\theta + \frac{\pi}{2} \right) &= -\frac{1}{\tan \theta} \\[5pt]\end{align*}

$\frac{\pi}{2} - \theta $ の三角関数

\begin{align*} \sin \left(\frac{\pi}{2} - \theta \right) &= \cos{\theta} \\[5pt] \cos \left( \frac{\pi}{2} - \theta \right) &= \sin{\theta} \\[5pt] \tan \left( \frac{\pi}{2} - \theta \right) &= \frac{1}{\tan \theta} \\[5pt]\end{align*}

$\theta + \pi$ の三角関数

\begin{align*} \sin \left(\theta + \pi \right) &= -\sin \theta \\[5pt] \cos \left(\theta + \pi \right) &= -\cos \theta \\[5pt] \tan \left(\theta + \pi \right) &= \tan \theta \\[5pt] \end{align*}

$ \pi - \theta$ の三角関数

\begin{align*} \sin (\pi - \theta) &= \sin \theta \\[5pt] \cos (\pi - \theta) &= -\cos \theta \\[5pt] \tan (\pi - \theta) &= -\tan \theta \\[5pt] \end{align*}

加法定理と関連する公式

加法定理

角の和や差の三角関数について、以下の加法定理が成り立ちます。

sin, cos, tan の各式に対して、複合同順でそれぞれ2つの公式が存在します。

\begin{align*} \sin(\alpha \pm \beta) &= \sin\alpha\cos\beta \pm \cos\alpha\sin\beta \\[5pt] \cos(\alpha \pm \beta) &= \cos\alpha\cos\beta \mp \sin\alpha\sin\beta \\[5pt] \tan(\alpha \pm \beta) &= \frac{\tan\alpha \pm \tan\beta}{1 \mp \tan\alpha\tan\beta} \\[5pt] \end{align*}

2倍角の公式

上の加法定理にて、$\beta$ を $\alpha$ に置き換えることで、次の2倍角の公式が得られます。

2倍角の公式とは、角 2α(左辺)の三角関数を、角 α の三角関数に変換する(右辺)公式です。

\begin{align*} \sin2\alpha &= 2\sin\alpha\cos\alpha \\[5pt] \cos2\alpha &= \cos^2\alpha - \sin^2\alpha \\[5pt] &= 1-2\sin^2\alpha \\[5pt] &= 2\cos^2\alpha -1 \\[5pt] \tan2\alpha &= \frac{2\tan\alpha}{1-\tan^2\alpha} \end{align*}

3倍角の公式

上の2倍角の公式を2回繰り返して用いることで、次の3倍角の公式が得られます。

3倍角の公式とは、角 3α の三角関数(左辺)を、角 α の三角関数に変換する(右辺)公式です。

\begin{align*} \sin3\alpha &= 3\sin\alpha - 4\sin^3\alpha \\[5pt] \cos3\alpha &= 4\cos^3\alpha - 3\cos\alpha \\[5pt] \end{align*}

半角の公式

コサインの2倍角の公式より、サインとコサインの半角の公式が得られます。さらに、この2式より、タンジェント半角の公式を得られます。

半角の公式とは、角 α/2 の三角関数(左辺)を、角 α の三角関数に変換する(右辺)公式です。

\begin{align*} \sin^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1-\cos\alpha}{2} \\[5pt] \cos^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1+\cos\alpha}{2} \\[5pt] \tan^2\frac{\alpha}{2} &= \frac{1+\cos\alpha}{1+\cos\alpha} \\[5pt] \end{align*}

三角関数の合成公式

$a\sin \theta + b\cos\theta$ のように、角 θ が等しいサインとコサインは、次のようにサインの形にまとめることが出来ます。これを三角関数の合成といいます。

\begin{align*} a\sin\theta + b\cos\theta &= \sqrt{a^2+b^2}\sin(\theta+\alpha) \\[5pt] \text{ただし} \\[5pt] \cos\alpha &= \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}} \\[5pt] \sin\alpha &= \frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}} \\[5pt] \end{align*}

積和・和積の公式

積和の公式

加法定理の2つの式を辺々加えることで、積和の公式が得られます。

積和の公式とは、2つの三角関数の積を、三角関数の和(・差)の形に変換する公式です。

\begin{align*} \sin\alpha \cos\beta &= \frac{1}{2} \{ \sin(\alpha+\beta) + \sin(\alpha - \beta) \} \\[5pt] \cos\alpha \sin\beta &= \frac{1}{2} \{ \sin(\alpha+\beta) - \sin(\alpha - \beta) \} \\[5pt] \cos\alpha \cos\beta &= \frac{1}{2} \{ \cos(\alpha+\beta) + \cos(\alpha - \beta) \} \\[5pt] \sin\alpha \sin\beta &= - \frac{1}{2} \{ \cos(\alpha+\beta) - \cos(\alpha - \beta) \} \\[5pt] \end{align*}

和積の公式

積和の公式の右辺と左辺を逆に見ると、次の和積の公式が得られます。

和積の公式とは、2つの三角関数の和(・差)を、三角関数の積の形に変換する公式です。

\begin{align*} \sin \alpha + \sin \beta &= 2\sin\frac{\alpha+\beta}{2} \cos\frac{\alpha-\beta}{2} \\[5pt] \sin \alpha - \sin \beta &= 2\cos\frac{\alpha+\beta}{2} \sin\frac{\alpha-\beta}{2} \\[5pt] \cos \alpha + \cos \beta &= 2\cos\frac{\alpha+\beta}{2} \cos\frac{\alpha-\beta}{2} \\[5pt] \cos \alpha - \cos \beta &= -2\sin\frac{\alpha+\beta}{2} \sin\frac{\alpha-\beta}{2} \\[5pt] \end{align*}

微分・積分の公式

微分の公式

三角関数の基本的な微分公式は次の通りです。

\begin{align*} (\sin x )' &= \cos x \\[5pt] (\cos x)'& = - \sin x \\[5pt] \left( \tan x \right)' &= \frac{1}{\cos^2 x} \\[5pt] \end{align*}

$\frac{1}{\tan \theta}$ を微分すると次の導関数が得られます。

\begin{align*} \left(\frac{1}{\tan x} \right)' &= - \frac{1}{\sin^2 x} \end{align*}

さらに、サインとコサインの第 n 次導関数は次の通りです。

\begin{align*} \left(\sin x \right)^{(n)} &= \sin \left( x + \frac{1}{2}n \pi \right) \\ \left(\cos x \right)^{(n)} &= \cos \left( x + \frac{1}{2}n \pi \right) \end{align*}

積分の公式

三角関数の基本的な積分公式は次の通りです。上に挙げた4つの微分公式を逆に見ることで、確認ができますね。

\begin{align*} \int \sin x \,dx &= -\cos x +C \\[5pt] \int \cos x \,dx &= \sin x +C \\[5pt] \int \frac{1}{\sin^2 x} \,dx &= -\frac{1}{\tan x} +C \\[5pt] \int \frac{1}{\cos^2 x} \,dx &= \tan x +C \\[5pt] \end{align*}

$C$ は積分定数

三角関数の三角形への応用

ここからは、三角関数を利用した三角形の公式をまとめています。

正弦定理

三角形の3つの頂点を通る円はただ1つに決まり、これを外接円といいます。この外接円の半径を R として、次の正弦定理が成り立ちます。

三角形 ABC とその外接円(半径 R)
三角形 ABC とその外接円(半径 R)

\begin{align*} \frac{a}{\sin A} = \frac{b}{\sin B} = \frac{c}{\sin C} = 2R \end{align*}

$R$ は $\triangle ABC$ の外接円の半径

余弦定理

三角形の1つの角と3辺の長さの間には、次の余弦定理が成り立ちます。

三角形の2辺とその間の角が分かっていれば、余弦定理を使うことで、残り1辺の長さを求めることができます。

三角形 ABC
三角形 ABC

\begin{align*} a^2 &= b^2 + c^2 -2bc\cos A \\[5pt] b^2 &= c^2+a^2-2ca\cos B \\[5pt] c^2 &= a^2+b^2-2ab\cos C \\[5pt] \end{align*}

この余弦定理の式を変形することで、三角形の3辺の長さから角の大きさを求めることができます。

\begin{align*} \cos A &= \frac{b^2+c^2-a^2}{2bc} \\[5pt] \cos B &= \frac{c^2+a^2-b^2}{2ca} \\[5pt] \cos C &= \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab} \\[5pt] \end{align*}

sin を使った面積公式

三角形の2辺とその間の角が分かれば、サインを用いて次のように三角形の面積を求めることが出来ます。

2辺の長さ a, b その間の角 A の三角形
2辺の長さ a, b その間の角 A の三角形

\begin{align*} S &= \frac{1}{2}bc\sin A \\[5pt] &= \frac{1}{2}ca\sin B \\[5pt] &= \frac{1}{2}ab\sin C \\[5pt] \end{align*}

ヘロンの公式(参考)

三角形の3辺の長さが分かっていれば、次のヘロンの公式により、その三角形の面積を求めることが出来ます。

3辺の長さ a, b, c の三角形
3辺の長さ a, b, c の三角形

\begin{align*} S &= \sqrt{s(s-a)(s-b)(s-c)} \\[5pt] \text{ただし} \\[5pt] s &= \frac{a+b+c}{2} \end{align*}

この公式自体に三角関数は現れませんが、上の sin を用いた面積公式と、余弦定理から導かれています。

2直線のなす角と傾きの関係

2直線の傾きとその間の角 θ に関して、次の式が成り立ちます。

互いに垂直でない2直線

\[ y=m_1x+n_1, \quad y=m_2x+n_2 \]

のなす角を $\theta$ として

\[ \tan \theta = \frac{m_1-m_2}{1+m_1m_2} \]